白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
「さっきから二人で何を内緒話しているんだい」
「もちろん、君を倒す為の作戦会議だよ」
レオニールと軽口を叩き合い、クロードは「ねえロゼリエッタ嬢?」と同意を求める。ロゼリエッタはばねの壊れた人形さながらに何度も頷いた。
頬が熱い。
下がったはずの熱が、また上がって来てしまったのだろうか。でも部屋には戻りたくなくて、必死に何でもないふりをする。
今はもう兄よりもクロードに勝って欲しい気持ちが芽生えてしまっていた。だから手札の良し悪しを顔に出てしまうくらいなら、分からないままの方が結果としては良かったのだろう。
「強いんだな、君は」
どうしたら勝ったことになるのか。
知らない間に決着はついていて、苦笑いを浮かべたレオニールがテーブルの上のカードを集めるのもこれで四度目だ。その口ぶりと表情から察するに、どうやらクロードが勝っているらしい。
自慢の兄が負けているというのに嬉しく思ってしまう。自分は薄情な妹だとロゼリエッタは思った。
「小さくて可愛い勝利の女神が隣にいてくれるおかげだよ」
配られたカードを手にしながらクロードが優しい笑みを浮かべる。
青を少し混ぜた緑色のその目に自分が映っていることが、ロゼリエッタの胸を痛いくらいに高鳴らせるのだった。
「もちろん、君を倒す為の作戦会議だよ」
レオニールと軽口を叩き合い、クロードは「ねえロゼリエッタ嬢?」と同意を求める。ロゼリエッタはばねの壊れた人形さながらに何度も頷いた。
頬が熱い。
下がったはずの熱が、また上がって来てしまったのだろうか。でも部屋には戻りたくなくて、必死に何でもないふりをする。
今はもう兄よりもクロードに勝って欲しい気持ちが芽生えてしまっていた。だから手札の良し悪しを顔に出てしまうくらいなら、分からないままの方が結果としては良かったのだろう。
「強いんだな、君は」
どうしたら勝ったことになるのか。
知らない間に決着はついていて、苦笑いを浮かべたレオニールがテーブルの上のカードを集めるのもこれで四度目だ。その口ぶりと表情から察するに、どうやらクロードが勝っているらしい。
自慢の兄が負けているというのに嬉しく思ってしまう。自分は薄情な妹だとロゼリエッタは思った。
「小さくて可愛い勝利の女神が隣にいてくれるおかげだよ」
配られたカードを手にしながらクロードが優しい笑みを浮かべる。
青を少し混ぜた緑色のその目に自分が映っていることが、ロゼリエッタの胸を痛いくらいに高鳴らせるのだった。