絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
「そんなに何年も放置していない。ここに来て以来だから、まだ四年だ」

 誇らしげに言っているけれど、ここに住み始めてから一度も部屋のドアすら開けていないということは否定しないらしい。

「これは、まずは掃除ですね」
「そうだな」

 私の呟きに、イラリオさんはばつが悪そうに頬を掻く。
 どうやら、イラリオさんにはあんまり家事全般の生活力がなさそうだ。

[アリシアー]

 とにかく住める状況にしようと掃き掃除をしていると、換気のために開け放った窓から風の精霊達が集まってくる。その中に見知った子を見つけた、私は「あっ」と声を上げる。

「ガーネ、ベラ!」

 風の精霊達の中に、首都であるチェキーナでもよく私のところに遊びに来てくれたガーネとベラがいたのだ。

「こんなところまで移動してきたの?」
[僕達は風の精霊だから、風さえ吹いていれば簡単に移動できるよ]
「そっかぁ」
< 72 / 312 >

この作品をシェア

pagetop