絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 風の精霊達が説明し始めようとしたそのとき、部屋のドアをトントンとノックする音がした。

「エリー。俺の作業は済ませてきたぞ。こっちの進みはどうだ──……って、もう終わったのか!? 早いな」

 別の場所の片付けをしていたイラリオさんは、私がいる部屋の中を見回して目を丸くする。だって、家を出る前は埃まみれだった部屋の中が、床はもちろん棚の上までピカピカになっていたのだから。

「すごいな。こんな場所まで、どうやって掃除したんだ?」

 天井にぶら下がる照明器具に手を伸ばしたイラリオさんは、指先に埃が付かないことを確認して驚いていた。

「ええーっと。椅子に乗っかって頑張ってみまちた!」

 みまちたって何? みましたでしょ! っと心の中で自分に突っ込みを入れる。
 わざとじゃないの。推定六歳児、舌が回りにくくて喋りにくいの……!

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