冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「そう、よかったな。言っておいたと思うけど、散らかってるから。つきあたりのドアがリビング。先行って」


彼は途中で左側にあるドアから部屋に入っていく。
私は言われた通り進み、リビングのドアを開けた。


「なにこれ……」


思わず声が出てしまい、慌てて口を手で押さえる。

三十畳ほどはあろうかという広い部屋には、これで映画を観たら迫力満点だろうなと思うような大きなテレビ。

そして四人は座れる立派な白いソファにガラス製のローテーブル。

……があるのはいいのだが、そこら中に洋服が脱ぎ散らかしてあり、おまけにペットボトルやビールの缶までテーブルに放置されている。

キッチンに目を移すと、カップラーメンの容器がそのままになっていて、シンクは使用済みの皿やコップであふれていた。

立派な食洗機が目の前にあるのに、このありさまだ。

宝の持ち腐れならぬ、高級マンションと食洗機の持ち腐れよ、これ。


< 119 / 342 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop