冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「むしり取れる金がないと知ってるのに?」


ダメだ。
動揺でいつものようにテンポよく会話ができず、それからは黙り込んでしまった。

その日はよそよそしいまま勝手に片づけをして料理を振る舞い、そそくさと退散した。

照明の相談をするつもりだったのに、忘れてしまった。

八木沢さんも、あれからはなにも言ってこなかったので助かったけれど……。


家に帰り、新しいパースを描きながらふと手が止まる。

「ふたり暮らしだったら、もう少し収納が……」


って、なに考えてるの、私。冗談に決まってるでしょ?


「八木沢さんがおかしなことを言うからよ!仕事しよ」


余計なことを考えていないで、製図を完成させなくちゃ。
私は再び色鉛筆を動かし始めた。



五月初めのその日は、かすかな風が心地いいすがすがしい朝だった。

窓からハナミズキが見える。桜が散ったあと花を競うように咲かせて、私を楽しませてくれる。
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