冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
雇われ社員だった頃は、営業が取ってきた仕事をインテリア部で振り分ければよかった。

でも、これからは営業もみずから行わなくてはならない。

前途多難だけれど、私の心は弾んでいた。

事業計画書をひたすら書いていると、いつの間にか十八時近くになっていた。


「まずい」


彬さんのマンションに早めに行って、夕飯を作って待っていようと考えていたのに。

慌てて家を飛び出し、重い荷物を下げてバスに十五分ほど揺られる。
駅で電車に乗り換えて二十分で彬さんのマンションだ。

彬さんはタクシーで来いと言っていたが、無職の私にそんな贅沢はできない。

荷物を何度も抱え直しながらようやく彬さんのマンションの前までたどり着いて、ホッとしたその瞬間。


「こんばんは」
「あ……。こんばんは」


作ったような笑顔で私の前に立ちふさがったのは、あの児玉さんだった。

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