冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「あ……」
そして短い声を発する。
もしかして覚えていたの?
「その節は、ありがとうございました」
「いやいや、俺はなにもしてないですし」
立ち上がってお礼を言うと、彼は人懐こい笑顔で首を振る。
物腰柔らかな人だな。
園田部長とは大違いだ。なんて考えてしまう。
「大丈夫でしたか?」
「そう、ですね。大丈夫です」
なんて思いきり嘘をついたのは、これ以上巻き込むわけにはいかないからだ。
「大丈夫が好きな方ですね」
「え? ……すみません」
前回もそう言っただろうか。
「いえ。失礼します」
クスッと笑った彼は、少し離れた席に座り、バックからなにやら厚い本を取り出して、ページをめくり始めた。
なんだろう、あれ。
気になるものの、もちろん聞けない。
どんよりした気分が彼のおかげで少し持ち直してきた。
私にも心配してくれる人がいる。