冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「うん。早めに帰れよ。お疲れ」

「お疲れさまでした」


私はなんとか泣かずに丹下さんを見送った。

もちろん仕事をする気になんてなれず、すぐに会社を飛び出す。

引継ぎもなにもないじゃない。

園田部長は尾崎さんに担当させると言っていたけれど、彼女と話す時間すらくれなかった。


「クライアントに失礼よ」


思わず声に出る。

私に任せると言ってくれた奥さまに、なんとお詫びをしたらいいのかわからない。

こんな適当すぎる担当交代では、フォレスアートの評判も落ちてしまう。

なんで私が……。
セクハラをやめてあげてほしいと言っただけじゃない。

人として間違ったことをした記憶はない。
道徳に反しているのは、園田部長だ。


――ピピピーッ。


そのとき、けたたましいクラクションの音が耳に飛び込んできた。
我に返った瞬間、強く腕を引かれて道路に倒れ込む。


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