きみは溶けて、ここにいて【完】
イエスマン。
本当にその通りで、情けなくておかしい。
だって、傷つきたくないし、傷つけたくない。私にとって、傷つけることと傷つくことは同じなんだ。
誰かを傷つけたら、それは絶対に自分に返ってくる。何倍もの鋭さのナイフになって返ってくる。
昔、返ってきたナイフの先がまだこころに刺さっている。傷つけるとは、そういうことで、それなら、色々なことを、誤魔化して、許していたほうがマシだ。
久美ちゃんが、急いでワークに答えを映しているその向こうにいる森田君を、また視線に移してしまった。
そのとき、彼が、小さな欠伸をする。
あ、と思う。
なんだ、本当に、森田君は、寝不足みたいだ。
大きな円の中心、人気者の彼の欠伸の理由を知っているのは私だけだと思うと、少しそわそわしてしまった。