きみは溶けて、ここにいて【完】



だけど、きっと、森田君がそうしたのには、何の意味もなくて、私は、ただ、自分が許されたかったから、そう見えてしまっただけなのだろう。

だって、森田君は、私の友達の久美ちゃんの事情を何にも知らないはずだ。



 お昼休みが終わるころには、久美ちゃんの涙もおさまった。だけど、最後まで、久美ちゃんは苦しい顔のままだった。

それでも、私に笑顔を見せようとするから、笑わなくていいよ、と言いたかった。

だけど、私は、言えなかった。



 放課後になって、園芸部の花壇に水をやりに行く。


本当は、別の人が担当の曜日だ。だけど、変わって、と頼まれたから、引き受けた。


今日も、私は断れない。

いいよ、と言った後に、河原で影君に言われた言葉を思い出したけれど、もう、その時には、すでに頼んできた人はどこかへ行ってしまっていた。



 ジョウロを傾けて、花壇の隅から花の上に水を降らす。


ペチュニアとカラー。

曇り空の下では、花の鮮やかさもあまり本領を発揮しない。なんて、花が霞んで見えるのは、きっと自分の心が薄暗い灰色に染まっているからだ。



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