きみは溶けて、ここにいて【完】
「……影君は、知っているのかな」
記憶を共有して感じ取ってしまったら、私と同じように落ち込んでしまうのではないかと思った。
きっと、彼はそういう人だ。何にも悪くないのに、私が相談したばっかりに、悲しい気持ちにさせたくはなかった。
森田君は、首を傾げて、「どうだろうなあ」と言う。
「影は、俺の記憶で、それを知っても、知ったということを保志さんには伝えないと思う」
「……そっか」
「保志さん、影に会いたい?」
森田君の声が、鼓膜に触れた瞬間、微炭酸のように弾けた。
顔に熱が生まれてしまう。
へらりとも笑えなかった。同じ見た目で、そんなことを、聞かれても困る。頷くこともできず、立ち尽くしていたら、森田君は苦笑いを零して、「ごめん。今のは、意地悪だった」と言ったから、ようやく、少し力が抜けて首を横に振る。
謝るのは、きっと、私の方だ。
謝らせてしまって、ごめんなさい、と思ってしまう。