きみは溶けて、ここにいて【完】
ああ、今、泣けと言われたら、泣けてしまう。
何かに、追い詰められている。何かって、森田君。彼は、相変わらず、笑っている。その前で、私はどんな顔をすればいいんだろう。
へらへらと笑っても、全て見透かされるような気がした。それで、森田君は見過ごしてはくれない気がした。
私が、何をしたんだろう。
どうして、こう責められてしまうのか。
やっぱり、私が悪いからだ。
でも、何が?
本当にそうだ。何に、申し訳なさを抱いているのか、ちゃんと考えたら、私、全然、分からない。
「……分からなくて、ごめんなさい」
「やだよ。保志さん、また、謝るじゃん」
「……う、ん」
「蝶がさ、もし、台風で誰かが傷つくのが嫌だってなって、飛ばなくなったら、死ぬんだよ。はばたいて飛ばないってことは、食べ物をとりにいかないってことで、もう、そいつは、餓死するしかない」
「……」
「保志さんが、死んだら、影は、悲しむ」
そう言って、森田君は窓の桟から手を離して、一歩後ずさった。
距離が離れる。
私は、そのことに少し安心した。