Don't let me go, Prince!
「ハナさんってとても素敵な女性なのね、あの新城さんがベタ惚れって言うのも納得だわ。」
帰りの車の中、私たちの話題は勿論ハナさん達の事で。彼女の話してくれた内容を詳しく聞こうとするたびに、弥生さんには渋い顔をされてしまう。
でも私の知らない弥生さんをたくさん知っているハナさんに、少しだけ嫉妬してしまったことは気付いてないでしょう?
私は欲張りだから、もっともっと弥生さんの事を知りたいの……貴方の過去も未来も。
「ハナさんはああ言う性格ですから、学生時代に私達は随分と彼女に振り回されたものです。」
そんな話を聞いちゃうと、私だけ仲間外れになったような気がして余計にジェラシーを感じちゃうでしょ?
「羨ましいわ、私はどう頑張ったって記憶の中の弥生さん達の中には入れないもの。」
弥生さんに甘えたくて、こうやってちょっとだけ拗ねて見せたりもする。彼に今は私だけが特別だって、そんな事を言わせたいのかも。
「……アルバム、見ますか?私は写真が苦手なので、そんなに枚数はありませんが。」
「見る!本当に私に見せてくれるの?」
それって、小さい頃の弥生さんとかも写っていたりするのかしら?彼の言葉が嬉しくて、私はちょっと興奮気味に返事をしてしまう。
「渚にだけ、特別ですからね?本当に……私は貴女には甘くなってしまいます。」
「すごく嬉しいわ、ありがとう弥生さん。」
車内だから無理だけれど、弥生さんに抱きつきたいほど私にとっては嬉しい約束。
「渚のアルバムも用意しておいてくださいね、見せ合いっこですよ?」
「……写真を見て笑わないでね?子供の頃はお転婆だったのよ。」
ヤンチャだった子供時代の自分を見せなきゃならないと思うと、急に恥ずかしくなって赤くなってしまたり……そんな私の一喜一憂を弥生さんはとても優しげな眼差して見つめていた。