Don't let me go, Prince!
「私には母に対するこの感情を、渚に上手く話す事はまだ出来ません。もっと、私にも時間をくれませんか?」
この話はもう終わりにしてしまうのかと思ったけれど、弥生さんはいつか聞かせてくれると約束してくれた。少なくとも彼は、私と一緒に過ごす未来を見てくれている。
「ええ、私は弥生さんから無理して聞き出したい訳じゃないわ。貴方が話せる様になるのをちゃんと傍で待たせてもらうから。」
弥生さんがそう言ってくれるのならば、私も貴方と過ごす未来を見ると約束するわ。今のままなのか、それとももっと近い距離で触れあう事が出来るようになっているのかはまだ分からないけれど。
「渚、ちょっと待っていなさい。」
弥生さんはそう言って部屋の隅にある小さなクローゼットを開けた。何だか違和感のあるクローゼット、もしかしたら彼らが暮らすために後からつけられたものなのかもしれない。
「落としたパジャマは洗濯に出します。今日はこのパジャマを着て眠りなさい。」
渡されたのはどう見ても男性用のパジャマ。サイズが大きいので、弥生さんが普段使っている物なのだろうか?
「ありがとう。でもきっとブカブカ……」
「私しか見ないので気にする必要はありません。先ほど渚の下着姿はしっかりと見せて頂いたので、ここで着替えてもいいのですよ?」
そんなしっかりと見てたの?ボーっとしてるのかと思っていたじゃない!今更ながらに脱衣シーンを思い出してしまい顔が熱くなる。
「そんなにしっかり見たというのなら、感想くらい言ったらどうなの?」
な、何を言っているのよ私は!恥ずかしさからもっとバカなことを口走ってしまい、弥生さんを呆れさせてしまう。ああ、穴があったら……いいえ、無くても自分で掘って入りたいわ。