Don't let me go, Prince!
「渚は私の感想が聞きたかったのですか?」
真面目な顔で聞き返さないで、尚更恥ずかしくなってしまうじゃない。多少は出る所は出ているけれど、モデル程のプロポーションを持っている訳でもないのだから感想が貰えるなんて思ってないわよ。
「いい、聞きたくないから言わないで!ちょっと混乱して出た言葉なのよ。」
弥生さんは背が高くて落ち着いていて、無表情だが顔もハンサムな方だと思う。きっと今までモテていたに違いない。きっと過去に美人で素敵なプロポーションの女性とだって……
「渚の下着姿は、私にはとても可愛くて魅力的に映っていますが?」
「な、何を言ってるのよ、揶揄っているの?私が脱いでも眉一つ動かさなかったくせに、そんな事ある訳ないでしょう。」
真面目に返された言葉に私の方が戸惑ってしまう。弥生さんは私がヒステリックに喚くから仕方なく言ってるの?それとも本心?
彼の本心がどうであれ、そろそろ恥ずかしさも限界だわ。弥生さんが貸してくれたパジャマを握りしめて、ここから逃げ出すタイミングを探してる。
「ここで一緒に暮らす上で、渚にきちんと言っておかないといけないと思っていたことがあります。」
「何……?」
「私は欲が無いわけではありません。渚のあまりに無防備な姿を見せられれば、それなりに意識しています。ここで二人きりで過ごす時間……渚には私は男だという事をちゃんと意識して欲しいのです。貴女は……私の妻なのですから。」
弥生さんの言葉をどう受け止めればいいのか迷う。もしかしたら弥生さんは私に触れたいと思っているの?それとも無意識に誘うような行動を慎めと注意されているの?
私は弥生さんから触れられるのが嫌な訳じゃないけれど、どんな感情で触れられるのかは大事なことだと思ってる。
私じゃなきゃダメなのか、それとも私以外の人でも代用できる欲なのか。そこまで弥生さんはまだ教えてくれてない。
私は何も返事をする事が出来ずパジャマを持って洗面所へと逃げ込んだ。