Don't let me go, Prince!


「これって私が結婚前に好んで来ていた系統の服よね。弥生さんはあんまり好みじゃないだろうと思って着るのを止めたんだけれど……」

 彼の好みはもっとお淑やかな感じだと思ってた。結婚して私は彼好みの淑女になろうと努力してきたつもりだったのだ。「だった」のだけれど……?

「私、間違っていたのかしら?」

 思わず首を傾げてしまう。確か初めてのデート(?)で私の姿を見た弥生さんはかなり戸惑っていた覚えがあるのだけれど。服や化粧の問題では無かったのかしら?

 彼が用意した服がこれなのならば、嫌いなわけじゃないのでしょうね。洗顔や歯磨きを済ませて服を着た。うーん……ここにあるだけではメイクできないわね。昨日は基礎化粧だけで済ませたけれど。

 私はフロントに電話をして朝食と普段使っているメイク用品をお願いした。ショップが開店したらすぐに行ってくれるそう。すぐに届けられた朝食を済ませるとすることなんて何もない。

 こんな場所で食べてゴロゴロ、食べてゴロゴロ……豚にでもなれって言うのかしら?一人ぼっちで残されて何だかイライラしちゃう。

「これはダイエット……しないといけないわよね?」

 悪い事を思いついてしまった。私はもう一度フロントに電話をかける。用件を伝えると「四ツ谷様に確認してみます。」と、焦った声で返された。ふふふ、弥生さんはどうするのかしらね?

 予想はしていたけれど1時間経っても2時間経ってもフロントから連絡は来ない。まあ、当然の反応だと思うし、今頃弥生さんだって呆れてるかもしれないわ。

 何もすることが無いのでソファーでウトウトとし始めた昼過ぎ。部屋のインターフォンが鳴った。

 私の方からはドアを開ける事が出来ないので、大きめの声で返事をしてからドアの前で待つ。メイク用品を持って来てくれたのかしら。


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