Don't let me go, Prince!


 私はずっと不思議に思っていた。私は何故か弥生さんに強く望まれていると思ってプロポーズを受けたの。
 でも待っていたのは冷たい結婚生活だった。
 いざ結婚して見たら弥生さんにとって私は必要ない妻だったの?

 弥生さんの私に対する言動全てが冷たかったわけじゃない。だけど愛のある夫婦生活とはとても言えなかった。

「……渚にとって屋敷での二人の生活が、渚の望んでいたものとは違うという事は分かっていました。分かっていながら私は渚をあの屋敷に住まわせていました。」

 彼の答えはまだ私の質問に対することの全ての答えではなかったが、私は弥生さんの言葉を大人しく聞く事にした。

「渚は……私と一緒になったことを後悔してますか?」

 それは私ではなくてあなたの意見の方を聞きたいのだけれどね?

「してる、と言えばしているのかも。結婚前にもっとお互いの事を良く知る努力をしていれば、半年間をあんなに冷えたような関係で過ごすことは無かったのかもしれないとは思ったから。でもね、弥生さんとの結婚そのものは後悔してないわ。私、人を見る目には自信があるもの。」

「そう……ですか。ただこれだけは言わせてください。この半年間が渚にとって意味の無いような結婚生活だったとしても、私にとっては帰る場所に「渚がいる」という意味のあるものでした。」

 私の存在が意味が無いとまでは思ってないけれど、弥生さんにどう必要とされているのかしら?とは何度も悩んだわね。私はあの屋敷に居るだけでも弥生さんにとっては意味のある存在だった?

「そう思うのなら、なぜ今日のように早く帰って来なかったの?本当はいつも時間を潰して帰っていたのよね?」

 いままでは仕事で遅いんだと思ってた。だけど多分弥生さんはいつも《《ここ》》で少しの時間を過ごしている気がした。

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