Don't let me go, Prince!



 弥生さんはいつも私に好きなようにしなさいと言うけれど、逆に私にして欲しいことは無いのかしら?私が傍にいるだけで良いと思わないで、私のことをもっと必要としてよ?

「弥生さん。女が誰でも与えられるだけで、何もかも満足出来るのだとは思わないで欲しいわ。」

 もしかしたら彼は与える事でしか気持ちを表せない人なのかもしれない。これが彼なりの精一杯の好意の表し方だとしたら、そんなものは全部変えてあげるわ。

 与えられることは嬉しいし、私の悪い所全てを受け入れようとしてくれているのも分かる。
 だけどそれだけじゃ嫌なの。
 私だって貴方に与えたいし、全てを受け入れたい。弥生さんの我が儘だって聞いてみたいし甘える所だって見たいのよ。

「……では、渚は他に何をすれば満足してくれるのですか?どうすれば……私から離れて行かない?」

「どうして弥生さんが私にしてくれることが前提なの?」

 それに私が離れて行くって……弥生さんは何をそんなに不安がっているの?私は貴方から離れたくなんてないのに。

「こうしなければ、誰も私の傍には居てはくれないからです。」

 弥生さんの中に自分が与えられる側になるという考えはないの?確かに私は結婚生活で弥生さんから何かを求められたことが無いような気がする。

 昨日……初めて私自身を望まれたことだけ。

「弥生さんには、見返りを求めずに何かを与えてくれる人はいなかったの?」

 彼は今までどんな生き方をしてきたのだろう?普通の家庭で生まれ生活をすれば、親から愛情を受け、友達が出来れば友情を育む。
 そして特別な誰かと愛情を交わす関係になるはずだというのに……

 多分、彼はそれを一方的に与える事しか知らないんだ____


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