Don't let me go, Prince!
このままじゃ何だか身の危険を感じてしまうので、私は急いで弥生さんの腕は外そうとする。だけど彼の腕の力が強くてなかなか離れてくれない。
「渚がこうしろと言ったのですよ?」
そうね、そうだけれども。弥生さんは今、少しだけ私と違う事を考えているでしょう?
私だってそれくらいは分かるわよ。貴方の手の……動きが少しだけ違うもの。
「今、離してくれないと……次はしてあげないわよっ?」
そう怒って見せると、弥生さんはあっさりと両腕を私の腰から離した。あら、思ったより素直に言う事聞いてくれるのね?
私は急いで弥生さんから離れて自分の席に座る。心臓がまだバクバクなっているわ。
弥生さんは怒ったりしないから、ついつい私が調子に乗って挑発してしまうんだけれど……彼は後からしっかりやられた分はやり返さないと気がすまない人らしい。
そうだわ、昨日は軽い気持ちで挑発して最後はあんな風にされて……ああ、恥ずかしい。
「渚?顔が赤いですよ、熱でもあるのですか?」
違うでしょ?これは昨日の夜を思い出してしまったからこうなったのよ。弥生さんはお仕事の鞄から体温計を出そうとしなくていいから。
「弥生さんの所為でしょ!だいたい朝から私を誘惑するような事をしないで!?」
「それは先に渚が私に対してしたことなのでは……?」
全然違う!私は弥生さんに包み込むような愛情を感じて欲しくてやった事なのよ?
弥生さんには私の思いはあまり伝わってはいなかったようね。
「私といて弥生さんはそんなに隙の無い大人の男性として振る舞っていなければいけない?私の傍はそんなに気が休まらないの?」
「渚こそ、私のだらしない姿を見て幻滅しないと言えますか?私はそのような話を看護師の女性たちからよく聞きます。」