(仮)愛人契約はじめました
「あ、あそこ入る?」

 唯由がファストフードの店を指差すと、月子は眉をひそめた。

「私、ああいうお店、入ったことありませんわ」

「そうなんだ?
 友だちとかと入らないの?」

「私のお友だちは、あのようなところには入りません。
 お姉様は、お姉様のお母様の影響か、庶民的な暮らしがお好きなようですけど……

 って、聞いてくださいますっ? 人の話っ」
と後ろで月子が叫んでいた。

 月子の話を聞きながら、すでにファストフードの店の前に立っていたからだろう。

 ガーッと自動扉が開き、中から心地よいクーラーの風が吹きつけてくる。

「ほら、月子、早くっ」

 振り返り、ちょいちょい、と手招きすると、

「ほんとうにマイペースですわね……」
と月子は文句を言ったようだった。

 が、聞いても仕方がないので、ほとんど聞いてはいなかった。
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