(仮)愛人契約はじめました
「あらー、月子。
 なにこれ、まずいー」

 蓮太郎とともにローテーブルについている女性が月子の作った煮物に文句をつける。

 目鼻立ちのハッキリした美女、唯由の母、早月(さつき)だった。

 仕事帰りに娘のアパートに初めて寄ってみたのだと言う。

 なんの案内もなく、ちょっと来てみようと思って迷わずこのアパートにたどり着ける早月を、蓮太郎はちょっと尊敬していた。

 いや、まあ、大抵の人間はたどり着けると思うのだが……。

 唯由が、

 母よ。
 ストレートすぎですよ、という顔でキッチンから早月を振り返っている。

 だが、早月は、そこから月子を褒めはじめた。

「でも、意外に均一に切ってるじゃない。
 いい感じに味がしみそうよ

 味付けが良くなれば、かなりいいんじゃない?」

 早月は月子に、頼りがいのある笑顔を向ける。
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