御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
白木さん親子と合流し、二人に荷物を持ってもらい、ロビーに出るとホテルの人が出迎えに来てくれていて、大きなバンでホテルまで向かった。

1時間ほどの移動だったが、私は車中でぐっすりと眠っていた。

「起きてください。着きましたよ。困りましたね」

うっすら聞こえる玲音の声に疲れた体は反応せず、身体が抱え上げられる感覚でようやく意識を取り戻した。

「だっ、降ろして! 恥ずかしい」

私はお姫様抱っこをされながら車を下ろされていた。

「せっかくなのでこのまま移動しましょう。こうすれば美音さんは私の妻であることを皆さんに印象付けられます」

そんなの恥ずかしすぎる。

「ダメです。降ろしてください」

何とか降ろしてくれた玲音の腕に手を回した。

「これでどう?」

私の問いかけに玲音は笑顔を見せた。

笑顔を……。

私は白木さんと目を合わせた。白木さんも驚いているという事は、これは営業スマイルではない。

「どうかされましたか?」

「えっと、今笑ってるよね?」

「ええ、僕は笑えますよ。何度言わせるんですか?」

いやいや、これまで笑えると主張する玲音の笑顔は全て営業スマイルだった。
でも今はそれとは違う。優しい微笑み。

「あの二人何言ってんだ?」

「しっ! 黙っていなさい」

小さな声で話している白木親子の会話が聞こえてくる。
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