御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?

約束の場所

翌日は朝早く起き、ホテルに併設されているカフェの無料券をもらったのでそこで朝食を済ませ、出発の準備をして彼の部屋へ内線し、準備ができたことを伝えた。

ロビーに行くと彼はシンプルなTシャツにジーンズといった格好で立っていた。

これはこれでかっこいい。さすがパリが似合う男だ。

でも、よく考えると私は覆面調査員として来ているのに彼と一緒に行動しては従業員にバレバレなのではないだろうか。

彼はこのホテルには来たことがなかったのだろうか。
いや、これが従業員を巻き込んだ採用試験なら納得が行く。

調査されているのは私なのかもしれないという思いを強くしつつ、彼の案内で電車に乗り目的地に向かった。

パリから約3時間の小旅行。

フランスに行けると聞いて私にはどうしても行きたい町があった。

そもそも案内役を付けるという事になったのは、フランスに行って欲しいと言われた時に私がついそこに行ってもいいのかと口走ってしまったことが発端だ。

人事の人はもちろん行ってもいいが語学は大丈夫かと尋ねてくれた。
私が学校で習った簡単な英語なら何とか大丈夫かもしれないと伝えると案内役をつけてくれることになったのだ。
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