御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
そして電車はある駅に着き、目的地である旧市街まではタクシーに乗り、私はとうとうあの場所に足を踏み入れた。

「ようやくつきましたね。夢の街へようこそ」

私が意気揚々と両手を広げアミューズメントパークのマスコットのように片足のつま先を上げて可愛らしく言ったのにも関わらず彼は私を素通りして先に進んだ。

恥ずかしい。
少しでも彼のテンションを上げようとしたが全く効果はなかった。

ちなみにここはアミューズメントパークではない。
さすがの私も本物のマスコットを前にやる勇気はない。

私達が来たのはコルマールと言うフランス最東端に位置するドイツとスイス側に近い街だ。

世界的に有名なアニメーション映画や日本で作られ世界でも愛されている人気アニメーション映画でこの街を参考にしているシーンがあると言われているほど可愛い街だ。

オレンジや黄色、ピンクや青などカラフルな建物が立ち並び、歩くだけで心が弾む。

どこもかしこもおもちゃのような可愛い家ばかりに顔のニヤケが止まらない。

まさに夢の国。

30歳と言う節目の誕生日にこんな街に来られるなんて本当に幸せだ。

しかも一人でなく物語の中から飛び出してきた王子様のような美しい彼と一緒だなんて一生の思い出だ。
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