御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
「写真撮りましょうか?」と浮かれている私に彼は提案してくれた。

私はお願いしますと言って爽やかな青のロングスカートをお姫様のように指先でつまんで持ち、胸元のネックレスに手を当てて写真を撮ってもらった。

「とても素敵な笑顔です」と彼はつぶやきながら何枚か写真を撮り、スマホを返してくれた。

ちなみに今日は彼が電池式充電器を持ってきてくれているので充電が無くなる心配をしなくて良い。

「そろそろお時間になりますので急ぎましょう」と言って彼は私の前を進んでいく。

今日のお昼は事前にレストランを予約してくれているそうだ。

私達はレストランに入り、この地域の名物であるタルト・フランベを始め、ソーセージなどいくつかの料理を頼んだ。

タルト・フランベは薄いパン生地に玉ねぎやベーコン、チーズなどを乗せたピザのような料理だ。

「神岡さんはどうしてここを訪れたたかったのでしょうか?」と彼は食事中に尋ねてきた。

昨日の夕食では食事中一言もしゃべらなかったのでそういう人だと思っていたが、もしかすると彼は人見知りだったのかもしれない。

せっかく心を開きつつある彼には嘘をつかない方がいいだろう。私は彼に本当の理由を話し始めた。
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