御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
それなのに、こんなに美味しい料理を、しかも一人ではなく誰かと一緒に食べる事ができるなんて私の人生捨てたもんじゃない。

きっとこれは天国の父と母からのプレゼントだろう。
そんな妄想に浸っていると嬉しくて自然と笑みがこぼれていた。

「楽しんでいただけましたか?」

メインを食べ終わった頃に彼がそう尋ねてきた。

「はい。とても美味しかったです。ありがとうございます」

「良かったです」と言って彼は人差し指を立てた手を顔の位置に上げウェイターが来ると何かを告げた。
そしてウェイターはお辞儀をしてどこかに消えた。

きっとお勘定だ。デザートがあると勝手に思い込んでいたが、これで終わりなのだろう。

ナプキンで口元を拭っていると目の前のお皿や食器が片付けられていく。
だが、小さなフォークとスプーンだけは残され、回収されない。

テーブルの上にはソーサーとカップが置かれ、コーヒーが注がれていく。

そして、テーブルの真ん中に小ぶりなホールケーキが置かれた。
見た目はパイのケーキ、アップルパイのアップル無し、パイ包みといった感じだ。

「こちらはガレット・デ・ロワと言う本来は1月6日に食べるフランスの伝統菓子です」と彼は説明してくれたがよく分からない。

「ガレット・デ・ロワ?」
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