御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
人間ってそんなものだ。
目の前にいる人には上手いことを言いながらいなくなったら周りには自分を正当化するために事実を捻じ曲げる。

もういい。全ては私が浅はかだっただけだ。

こんな所に泊れるのはもう一生ないだろう。
起こってしまった事は変えられない。それなら帰れと言われるまで楽しもうじゃないか。

私は知っている。

どんなに落ち込み、涙を流しても助けてくれる人なんていない。
何もしなくても不幸は次々に降り注いでくる。

ならば、私は今この時を大切に笑顔で生きるだけだ。

母と来たかったフランス。今はダイヤになっているが、私は母と一緒に来ている。
もっと沢山のものを母に見せてあげよう。

スマホの充電も完璧だ。シャンゼリゼ通りからホテルまでの道は完璧に頭の中に入っている。

なるべくスマホを使わずに、歩き回ればいい。迷ったらシャンゼリゼ通りを目指せばいいだけだ。

記憶を洗い流すかのように身体についた泡をを綺麗に洗い流し、私は運動靴を履きパリの街を歩き始めた。

朝はまだ始まったばかりというのに至る所から香ばしいいい香りが漂ってくる。

歩き続けていると温かみのある昔ながらという感じのベーカリーを見つけた。
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