御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
「ちなみに映画のタイトルはローマの休日です」

「ローマ? イタリアですか?」

「はい。イタリアのローマにあるスペイン広場のトレビの泉です」

恥の上塗り。

ちなみにコンコルド広場はフランス革命でルイ16世やマリーアントワネットらが処刑された場所らしい。

マリーアントワネットに代表されるロココ調の部屋に泊っている私は今まさにここで心の処刑をされているような気分だ。

まぁ、全ては自業自得なのだが。

「すみません。知識がなくて」

「そうですね。どこで何を言われるか分かりません。帰国後は各地方の情報を勉強していただきましょう」

「え? 私不採用ですよね?」

「そうですね。そうしていただいた方がよろしいでしょう」

話しが読めない。不採用なら何故勉強する必要があるのか。

「残り3か所です。急いで回りましょう」

彼はそう言って大通りに出るとタクシーを止めた。

昼食をはさみながらパンテオン、ノートルダム大聖堂、オペラ座などパリの観光地を回り、各所で彼から知識を与えられたが、私の頭の中には何も入ってこなかった。

彼が何を考えているのか分からない。

夕食で訪れたカジュアルなレストランで私はこれからのことを聞かされた。
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