御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか？

「それに、正直好きという感覚はよく分かりません。私にもいつかそのような方ができるだろうとは思っていましたが、残念ながら幼い頃から祖父や父の仕事を手伝う時間が好きで、女性に対してそのような感情を抱かずにまいりました。あぁ、念のためにお伝えいたしますが私の恋愛対象は女性であることは確かだと思います」

「えっと、これまで彼女はいらしたんですよね？」

「おりません」

「では体だけの関係ということですか？」

「ですからそういう方もおりません。責任を取るべき相手は慎重に選ばねばと思っておりましたので」

まさかの筆おろし！　私はとんだ間違いを犯してしまった。でもそんなに慎重なのに何故……

「なぜ私と？」

「それは今朝お話したように誤解してしまい」

「寝てと言われたら寝るという事ですか？」

「寝るという言葉を体の関係を持つという意味でお答えしますと、これまでそのようなお願いをされても断り続けておりました。昨日は不覚にも二重の勘違いをしてしまい」

「いや、でも勘違いしていても止めればよかったですよね？　咲羽さんなら女性が襲い掛かろうと拒否できますよね」

「そうですね。私も何故あの時忠実に守ろうとしたのか。何か媚薬なるものを飲み物の中に入れられましたか？」