ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 この可愛い子、誰だろう。いるだけでその場が華やかになるような、とても目立つ子だ。
 腕組みをして、見下ろしたまま。

「小嶺さん、だったよね?」
「えっ、うん」
「どこにでも、生きていく上でのルールってものがあるのよ。知ってた?」
「ルール?」

 得意げな表情でこちらを見ると、片方の整った眉をぐっと上げた。

「よそ者とは、関わっちゃいけないって決まりがあるの。みーんな知ってること。末森さんも、わかってるよね?」

 いつの間にか、静かになっていた教室。まわりの生徒たちが、こちらをチラチラ見ている。またひそひそ話が始まって、不穏な空気が流れる。

「あの、意味がよく分からない……」

 話している途中なのに、その子はどこかへ行ってしまった。
 このクラス、なんだろう。

「なに、今の」
芦屋笑里(あしやえみり)。さっきのは、気にしなくていいよ」

 私の机に突っ伏して、優希ちゃんは黙り込む。
 気にしなくていいと言われても、明らかに気にしないといけない気がする。
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