ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「アピールしてもムダだよ、転校生ちゃん」
いきなり、前の席の女の子が話しかけてきた。椅子の背もたれに倒れかかって、ショートヘアをさらりと揺らす。
「えっと……、樹里だよ」
「あ、ごめんね? 私、末森優希。黒羽くんはやめときなね」
こそっと耳打ちされて、ハテナと首をかしげた。やめときなって、何を?
「あの顔面偏差値でしょ? かなり人気あるよ。なんたって、王子だから」
「なんか、すごい人なんだね」
たしかにカッコいいけど、今は興味はない。とりあえず、友達を作ってクラスの輪に馴染みたい。
「同級生に双子の弟がいてね。3年にはお兄さんがいるの。みんな美形揃いで、学校の有名人なんだよ。ちなみに、あたしの推しは影楼さん」
「……かげろう?」
どこかで聞いたことがある気がするけど、誰だったかな。首のあたりまで来ているのに、思い出せない。
「英語の授業してくれるんだけど、これがかなりイケメンなんだよ」
「あっ、それだ! 影楼先生!」
「なんだー、もう知ってるんだ」
少し悔しそうに、優希ちゃんが口をへの字に曲げる。
「樹里ちゃんも、英語選択しな……」
言いかけたとき、誰かが私たちの前に立った。くるんとした髪をふわっとさせて、愛らしい唇をツンと突き出している。
いきなり、前の席の女の子が話しかけてきた。椅子の背もたれに倒れかかって、ショートヘアをさらりと揺らす。
「えっと……、樹里だよ」
「あ、ごめんね? 私、末森優希。黒羽くんはやめときなね」
こそっと耳打ちされて、ハテナと首をかしげた。やめときなって、何を?
「あの顔面偏差値でしょ? かなり人気あるよ。なんたって、王子だから」
「なんか、すごい人なんだね」
たしかにカッコいいけど、今は興味はない。とりあえず、友達を作ってクラスの輪に馴染みたい。
「同級生に双子の弟がいてね。3年にはお兄さんがいるの。みんな美形揃いで、学校の有名人なんだよ。ちなみに、あたしの推しは影楼さん」
「……かげろう?」
どこかで聞いたことがある気がするけど、誰だったかな。首のあたりまで来ているのに、思い出せない。
「英語の授業してくれるんだけど、これがかなりイケメンなんだよ」
「あっ、それだ! 影楼先生!」
「なんだー、もう知ってるんだ」
少し悔しそうに、優希ちゃんが口をへの字に曲げる。
「樹里ちゃんも、英語選択しな……」
言いかけたとき、誰かが私たちの前に立った。くるんとした髪をふわっとさせて、愛らしい唇をツンと突き出している。