ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 唇をとがらせながら、『吸血鬼外伝』たる本を開いてみる。細かい文字に目がくらみそうだ。

 吸血鬼の特徴、能力。ページをいくつか送って、吸血鬼の封印が出てきた。ごくりと喉が鳴る。

 光のない闇の世界に生きる者たち、ヴァンパイア。彼らを封印するには、いくつかの方法がある。

 ひとつ目はーー。

「それ、どうやった?」

 思いがけず話し掛けられて、驚いた私はとっさに本を閉じた。

「なんとなく、反対の手で触ってみたら、偶然……取れちゃった」

 えへへと、左手を顔の横で広げて見せる。

「取れちゃったって、そんな単純なことじゃ……」

 言いかけて、パッと私の手首を掴むとその動きを止めた。
 少し血がにじんだ指先を見て、ルキくんの表情がこわばる。

「……まさか……行くぞ」

 読んでいる途中の書物を本棚へ戻すと、強引に私の手を引いて持ち出し禁止書庫を出た。

「まだ全然読んでないのに……」
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