ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 ねえ、何読んでるの?
 心の中で問いかけてみても、こちらを向く気配もない。

 ……つまんないの。

 視線を本棚に移して、もう一度手を伸ばしてみる。これは、単なる興味本位だった。

 おもむろに向けた指が、吸い付くようにして背表紙に()れる。

 うわぁ……、なぜか(さわ)れちゃった。

 タイトルが紫の光を放ち、消える。取っちゃっていいのかな。
 まだ本を読むルキくんの隣で、こっそり本を持ち出した。

 気付かない様子でページをめくり続けるルキくんに、こほんと咳払いをして。

「それ、何してるの?」

 さっきから、開いた本の上で手のひらをかざしながら、ゆっくりと左右に動かしている。

「脳にインプットしてる。ここの本は持ち出し厳禁だから」

 インプットって、文章をコピーしてるってことだよね? 
 そんなことが出来るなんて、信じられない。

 勉強なんてしなくても、テストは毎回楽勝クリアじゃない。

「くだらないこと考えてんなよ」

 文字に目を向けたまま、チクリと刺してくる。ほんとに勝手な時ばかり読むんだから。
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