ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 家の中へ入って、服や学校用具などを詰め込んだかばんを置くとすぐ、お父さんが腕時計を見て。

「ああ、もうそろそろ行かないと! お義母さん、あとはよろしくお願いします。椿、樹里、また連絡するからね」

 慌ただしく車に乗って、来た道を戻って行った。

 バイバイと手を振りながら、ムスッと頬を膨らませる。
 仕事が大変だからって、娘を残してそんなに急いで行かなくてもいいのに。

「さあさあ、好きな部屋をお選び。早いもん勝ちだよ」

 言われた時には、もうお姉ちゃんが階段を駆け上がる音がしていた。早すぎるから!

 二階の部屋の古くさいカーテンを開けると、ほこりと一緒に優しい光が差し込んでくる。
 少しだけ窓を開けて、草や花の匂いにほっと息をついた。ここからの景色を見ていたら、悪くないかもって思った。

「おばあちゃん、カーテン変えなきゃねー」

 声と足を弾ませて、階段を駆け下りる。
 これからの新しい生活に、不安と期待が膨らむ。
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