ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 人差し指を動かしながら、ルキくんが何かを探している。その姿を隣で見ながら、本棚とにらめっこする。

 どうして結界を張る必要があるのか、さっぱり分からない。

禁断書物(きんだんしょもつ)だからだよ。ここにあるのは、危険な本ばかりだ」

 この隔離された本棚には、吸血鬼に関する書物が多く並べられている。

『吸血鬼の殺し方』『闇の血術』、その中からルキくんは『血族について』という本に手を伸ばした。

「あれ? 触れてる」

 ルキくんの手には、しっかりと本が持たれている。
 上流階級の吸血鬼しか触れないって、言ってたのに。

「ルキくんって、実はすごい人だったりして?」

 もしかして、吸血鬼界の王子さまでした……なんてあり得る?

 ワクワクして見たら、ルキくんがあきれた顔をした。

「俺たちの中には、カゲの血が流れている。吸血鬼の中でも、カゲは名の知れた濃い血を持つ1人。王子とかくだらないこと妄想するな」

 だから本に触れることが出来たんだ。影楼先生って、そんなにすごい人だったの?

 ペラペラとページをめくりながら、ルキくんは黙って集中している。

 辞典みたいに分厚くて、こんなんじゃ1日かかっても足りないんじゃないかってくらいの量だ。
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