今日から騎士団長の愛娘!?～虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです～

「騎士団施設は、騎士たちが通常業務にあたる中央棟に騎士宿舎や武器保管庫といった複数の建屋の他、屋外、屋内共に訓練場をいくつも備え、とても広大でございます。毎年、新任の騎士の幾人かが必ず迷子になるそうですから、リリーお嬢様もお気をつけください」
　ジェームズの説明も納得だ。これだけ広ければ、大人だって迷ってしまう。
「分かった、気を付ける！」
「では、リリーお嬢様は私と手を繋いでおきましょうか」
「うんっ」
「守衛に聞きましたら、アルベルト様は現在、第二訓練場で剣戟の指導にあたっているそうです。そちらにまいりましょう」
　クレアに差し出された手を取って、ジェームズを先頭にして歩きだす。
　歩行路に沿って進んでいると、広い訓練場の中で若手の騎士たちが剣劇の訓練を行っているのが柵越しに見えた。
　ぶつかる刃と刃の音に、勇ましい掛け声。汗を迸らせながら、若い騎士たちが真剣そのものの様子で剣を打ち合っていた。
「わぁ、迫力満点ね！」