悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
これから向かうサロンは、少々特殊な場所にあるらしい。ひとまず人目に付かないよう、アメリアはエリオットの案内で裏手から進むことになった。
全く人の通る気配がない、王宮では一部の者しか使わない通路。
それについては、彼女にとっても都合が良かった。この世界では、女性が男性衣装を着るなんてない。それでいてこの男装姿が、大きな噂にならないくらいには人の目に付かない方がいい。
アメリアは彼の隣を歩きながら、着替えている最中も脳裏によぎっていた思いから、つい自分の恰好を見下ろしてしまう。
「この姿を、お兄様に見られたらアウトね……」
「何故?」
隣からエリオットが尋ね返してきて、アリメアは自分が口に出してしまったことに気づいた。
「そんなの、だって……家で男装ショーを始められるに決まっているからよ」
アメリアは、泣ける心境でシクシクとそう打ち明けた。
兄のロバートは、両親以上にアメリアを可愛がっている。ドレスに関しても、仕立て屋がくるたび時間をかけてあれやこれやとセットしたのを見たがった。そして、そのたびにベタ褒めするのだ。
――まぁ、友達がいなかった〝悪役令嬢アメリア〟にとっては、恥ずかしいながらも、唯一心が安らげる兄妹の一時でもあったのだけれど。
全く人の通る気配がない、王宮では一部の者しか使わない通路。
それについては、彼女にとっても都合が良かった。この世界では、女性が男性衣装を着るなんてない。それでいてこの男装姿が、大きな噂にならないくらいには人の目に付かない方がいい。
アメリアは彼の隣を歩きながら、着替えている最中も脳裏によぎっていた思いから、つい自分の恰好を見下ろしてしまう。
「この姿を、お兄様に見られたらアウトね……」
「何故?」
隣からエリオットが尋ね返してきて、アリメアは自分が口に出してしまったことに気づいた。
「そんなの、だって……家で男装ショーを始められるに決まっているからよ」
アメリアは、泣ける心境でシクシクとそう打ち明けた。
兄のロバートは、両親以上にアメリアを可愛がっている。ドレスに関しても、仕立て屋がくるたび時間をかけてあれやこれやとセットしたのを見たがった。そして、そのたびにベタ褒めするのだ。
――まぁ、友達がいなかった〝悪役令嬢アメリア〟にとっては、恥ずかしいながらも、唯一心が安らげる兄妹の一時でもあったのだけれど。