悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
そう思い返していたアメリアは、ふと、またしてもエリオットが自分をじっと見ていることに気づいた。しかも、後ろの護衛騎士達にも観察されている。

「なんですか?」

思わず、チラリと顔を顰めてやけ気味に尋ね返した。

するとエリオットが、片眉を少し上げて「いや?」と答えてきた。

「やっぱり普段は、その喋り方なのかと思ってな」

「あ」

指摘されて、ようやくアメリアは気づいた。思い返せば今の今まで、伯爵令嬢設定を忘れていた気がする。

「お、お気になさらないでくださいませ。ほほほ……」

ひとまず誤魔化すことにした。そうしたら、後ろについている二人の護衛騎士達が「はぁ」とけだるげに溜息を吐くのが耳に入った。

「今更とりつくろっても、遅いっつーか」

「ガッツリ見ちゃったあとで、そうされても萎えるっていうか」

おい、後ろの護衛騎士共。それ、令嬢本人の前で言うのは失礼だからね?

アメリアは、目を合わそうとしない彼らを軽く睨み付けて思った。敬いや緊張感もない護衛を、叱りもしないエリオットが憎い。

「お嬢様、俺らをじっと見つめていても何も出てきませんから」

すると一人の護衛騎士が、しっしっ、とやるように手を動かしてそう言った。

「そうそう、とっとと前に目を戻してください。疲れます」

「『疲れる』って何!? ちっとも緊張してないよわねっ?」

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