悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
野太い声で答えられて、アメリアはビクーッと反応してしまった。

この低クオリティのマッチョ女装集団は、全く女声やイントネーションを作る気はないようだ。かなり適当に語尾だけを直している感じもあった。

戸惑いしかないアメリアを見て、ドレスの男達が真面目な顔で、スッと手を出してこう続けた。

「きちんとした理由があるのですわ」

「我らの使命は護衛なのですわ」

「ここは武骨な軍人は立ち入り禁止ゆえ、なのですわ」

後半の騎士、かなり無理があるな、とアメリアは思った。

その時、パチ、パチと関心がないような、ゆっくりとした調子の拍手が令嬢達から小さく上がった。

「さすがは殿下の婚約者様ですわ」

「一目で、わたくし達の護衛であると見抜くとは」

「なんと鋭い観察眼かしら」

いや、一見してすぐに分かっちゃうレベルだよ。

アメリアは反応に大変困った。彼女が知っている前世の女装レベルと比べると、かなりひどい。

サロンの扉が、いったん、二人の護衛騎士達によって閉められた。見守るように後ろに立ったエリオットを、令嬢達の先頭にいる金髪の美少女が見やる。

「とはいえ、殿下のご婚約者様であったとしても、わたくし達は特別視は致しませんわ。あなたはまだ、婚約者というお立場。わたくし達をどうこうする権利はありませんことよ」

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