悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
――直後、ブチリと、羞恥が理性を切る音が聞こえた。

不意に、ヴァレンティーナ達に涙目で強烈に睨まれた。自己主張の強い縦て巻きの髪型に似合う、ツンデレ全開の表情で威圧されてアメリアは動けなくなる。

「涙を見られたからにはッ、その記憶、飛ばさせて頂きますわ!」

「え」

それって、もしかして物理的に?

そんな物騒な考えが脳裏をよぎった一瞬後、ヴァレンティーナの宣言を聞いたムキムキな女装達が「うおおおおお!」と向かってきた。

「ちょ、嘘でしょ!?」

アメリアはうろたえた。

その時、なりゆきを見守っていたエリオットが、「チッ」と舌打ちしてアメリアの腕を取った。出入り口へと彼女を引っ張る。

「行くぞ!」

「えっ、でも殿下――ひぇっ」

答えるそばから、雄叫びが聞こえてきてアメリアは飛び上がった。振り返った視線の先で、ドレスを着たムキムキの男達が「うおおおおおおおっ」と迫ってくる。

「我らはヴァレンティーナ嬢様と『白薔薇の会』の、犬!」

「殿下っ、無礼を承知で、その記憶っ、飛ばさせてもらいます!」

「馬鹿か! 無礼を承知でさせるかよ!」

エリオットが、アメリアを庇うように走り出した。二人の護衛騎士が足留めになるべく前に出て「相変わらずむさっ苦しい!」やら「筋肉馬鹿めっ」やらと言いながら、彼らと取っ組み合う。

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