悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
まるで、ちくちくとと非難されているかのようだった。それは一部本当のことであると思うし、なんで不機嫌になられているのかアメリアは分からない。

するとエリオットが、ミッシェルへと矛先を向けた。

「ところで、我が婚約者と仲良くして頂いているようで」

問われたミッシェルが、微笑まし気に見つめていたアメリアから、彼へと視線を移動した。

「ああ、いえ、私の方こそが助けて頂いているのです」

そう口にした彼女の頬が、不意に少し紅潮した。途端に「あの」「えっと」とらしくないほど口ごもり、恥じらった。

「……実は、ゆ、友人なのです。このように気軽に、楽しく話してくれる人は初めてで、とても大切な、と、とも、だち、なのです……」

もじもじした彼女の声が、か細くなって消えていった。

アメリアは、その見目麗しいさまにくらりとした。口から吐血のような息が出そうになって、じわじわと赤くなる顔を手で押さえて天井を向いた。

――はあああああ、なんって素敵なの!

それを、エリオットがじーっと横目に見つめていた。もしやこいつ、と勘づいた様子で眼光が鋭くなる。

「――ミッシェル嬢、すまないが、先程あなたが言っていたように、俺は忙しい中で時間を見つけて〝婚約者〟と過ごしているところだ。また今度にしてもらえるか?」

「ああ、承知しております。それでは、私はこれで」

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