悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
まるで、奥くまで覗き込んでくるような強い目だった。

「そうなったら、お前には既にあてがあるわけか」

「へ?」

「こぞって、次々に縁談が舞い込むかもな」

それはないかと……アメリアは、この年齢まで交流の一つさえ持てなかった、意地悪っぽい顔をしている自分を思った。

するとエリオットが、切れ長の目をあちらへ向けた。

「見てみろ。ほとんどの男がお前を見てる」

多分、それはただの気のせいである。恐らくは、みんな美しいエリオットを見ているのだろう。

この数日内で、多くの美しい令嬢達を見て改めて実感した。

そもそもゲームの〝悪役令嬢アメリア〟と違って、気丈な立ち居振る舞いやら持ち前の品やらがない今のアメリアは、彼女達に比べれば魅力もない。

「えぇと、そんなことはないかと……恐らくは、今日はバッチリ化粧まで決めているせいではないでしょうかね」

アメリアは、答えに困って視線を泳がせた。

「本気でそう思っているのか?」

ん? そう思ってますけど……。

アメリアは、目を戻してパチパチ瞬きした。じーっとエリオットが見つめてきて、言われた言葉の意味がいよいよ分からなくなってくる。

今日の彼は、一体なんなんだ? そう思っている間にも、彼とのダンスは続き、気づけば三曲目に突入してしまっていた。

「あの、殿下? 私はそろそろ足がきついのですが……」

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