悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
続けるマティウスの頬が紅潮した。まるでそれが移ったみたいにミッシェルも恥じらうと、会話がぴたりと途切れてしまう。

二人揃って、途端に照れたように挙動不審になった。

「……えっと、そ、それじゃあ僕は会場に戻るよ」

「はっ、はい。殿下も、お気をつけてお戻りくださいませ」

マティウスが、赤い顔を隠すように踵を返していった。それを、ミッシェルがベンチから見送る。

そのミッシェルの目に、一抹の切なさがよぎった。もう彼が振り返らないだろうところまで離れると、ほぉっと緊張を解いた息をつく。

これまでこらえていたかのように頬の赤みが増した。その様子は色っぽく、ミッシェルの目は、離れて行く第一王子の背中を大事そうに追っている。

――それは、恋をしている乙女の顔、だ。

そう気づいた途端、アメリアはズキューンときて胸を押さえた。無表情が基本の近衛騎士隊長、クラークの眼鏡がパリーンッと割れる。

「な、なんてことなの」

アリアは、思わず座り込んだ。ゲームの中で、後半の盛り上がりルートから〝高貴なる令嬢〟がプッツリ出てこなかったのは、このせいだったんだ!

ミッシェルは身を引き、そうして第一王子マティウスもまた、縁談話から距離を置くように出てこなくなる。そうしてゲームは、エンディングを迎える。

――つまりは〝究極の裏設定〟だ。

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