悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「さすがは抜け目のないクラーク様。お借りします」

二人は、ほぼ同時にハンカチを目元に押し当てた。

「はぁっ、このシーンを見られて良かった」

「全くもって同意です。私はこの日を忘れません」

「私もです、ミッシェル様なんて尊いのっ。つまりミッシェル様は、恋煩いだったんですねぇ――でも、そうだとすると、どうしたらいいのでしょう?」

アメリアは、ふと思ってクラークに尋ねた。

「殿下の方も、ミッシェル様に想いがあるように見えたのですが、でも、お二人共、互いに身を引いているようにも感じました」

「恐らくは、どちらも想い合っているからこそなのかもしれません」

「どういうことですか?」

「王族の結婚というのは、色々と難しいところがあるのですよ。いずれ国王となる方の妃となると、後継者作りの他に公務もあります」

クラークが、つい先程までじーんっと感動を噛み締めていたとは思えない、冷静沈着な目をアメリアに向けて言う。

「お前やミッシェル様のように、元から妃に相応しい教養がある場合は、その妃前教育もハードルはそう高くないでしょう。しかし、ご負担は少なからずある。もし妻となったのなら、それ以上の負担と責任があると覚悟も必要です」

「まぁ、結婚した後の方が、もっと大変なんだろうなぁとかは思いました」

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