悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「王弟妃、か。よく言った近衛騎士隊長クラーク。妃教育が始まったら、専属の護衛として引き抜いてやってもいい」

「どうぞお好きに」

勝手に男達の方で和解して、話が進んでいる。

運ばれているアメリアは、どうしようと本格的に困った。そもそも私、どこに運ばれようとしているの?

そうしていると、庭園を抜けてエリオットが廊下へ上がった。別れるように踵を返したクラークが、そこでアメリアを見た。

「私は会場に戻りますので、お前は婚約者としっかり話し合いなさい」

そう年上目線でアドバイスを告げられた。話すことなんて何もないんだけどと涙ぐむアメリアをよそに、エリオットは会場とは別方向へと進んだ。



◆§◆§◆



廊下を進んだエリオットが、近くの部屋の扉を開けた。

休憩室の一つだ。アメリアは社交デビューの際、兄のロバートから「気分が悪くなったら休める部屋があるから」と話を聞いていたのを思い出した。

ガチャリと扉が開けられると、ソファとベッドが置かれた広い室内があった。扉を閉めた彼が、ようやくアメリアを降ろしてくれた。

「奴と二人きりでいる後ろ姿を見た時、俺がどう思ったのか分かるか?」

向かい合わされて早々、そう切り出されてアメリアは困惑した。

なんだか、エリオットは機嫌が悪い。覗き込んでくる彼の眼差しは、責めるような厳しさがあった。

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