悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
唇を重ねられた一瞬、アメリアは何をされているのか分からなかった。ついばむような口付けの温かさに、キスをされているのだと気づいた。

「まっ、待って殿下、ンッ」

唇を重ね直され、吐息ごと奪われた。逃れようとするものの、気づけば後頭部を抑え込まれて、何度も角度を変えて二人の唇は重なっていた。

「アメリア」

どこか甘い声で名前を呼ばれる。

彼が興奮しているのが、触れた熱い吐息で分かった。苦しくなって息が上がってしまうと、力が抜けたアメリアの口へ舌が差し込まれた。

「んんっ、んぅ、あっ、殿下……んっ」

触れ合うだけだったキスは大人の口付けへと変わって、経験のない初心なアメリアをくらくらさせた。

引き上げるように深くかき抱かれて、舌を絡め取られる。ちゅうっと舌の奥を吸われて、ぞくぞくしたアメリアの口内をエリオットはまさぐる。

ようやく唇が離れてくれた。

「こんな風に、情熱的なキスを毎日だってしたいくらいに、俺はお前がいい」

息もたえだえになったアメリアは、少し乱れた髪を撫でられて、自分を支えてくれている彼を見上げた。

そこには、先程ミッシェルが浮かべていたような、恋する目をしたエリオットの美しく情熱的な表情があった。

「婚約を破棄する話は、白紙にして欲しい」

< 155 / 230 >

この作品をシェア

pagetop