悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
唐突なキスからの告白に、アメリアは困惑した。だって自分は〝ゲームの悪役令嬢〟で、彼にはゲームのヒロインがいる。

「ちゃ、ちゃんと、好きな人同士で結婚すべきです」

アメリアは、ゲームヒロインとのことを考えて、慌てて彼を押し返してその腕から逃れ、そう伝えた。

これは一時の気の迷いに違いない。彼は、何か勘違いしてしまっているのだ。少し出会いがズレてしまっただけで、彼はヒロインと恋に落ちるだろう。

「『ちゃんと好きな人』とは?」

なんだか、エリオットが妙な顔をする。

「殿下はお見合いの際、おっしゃっていたじゃないですか。『結婚するなら、好きな人としたい』、と」

アメリアがきちんと教えてあげたら、彼が考えるように顎に手をあてた。やや間を置いてから、なるほどと呟く。

「――そうか。お前は、俺が好きではないのか」

ん? なんか言い方が少し変なような……。

そもそも、初めいい印象を持っていなかったのは、彼の方だ。恋愛感情どころか情けも無用とばかりに、アメリアへ偽装婚約を持ちかけてきた。

だって彼は、ゆくゆくヒロインと恋に落ちて結婚する。

そして用のなくなった〝悪役令嬢アメリア〟は、そんな彼にこっぴどく振られるのである。

そんなメインストーリーの流れを思い返していたアメリアは、ふとエリオットに声をかけられて我に返った。

「じゃあ、俺に恋をさせればいいわけだな?」

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