悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「は……? 恋?」

「俺はお前が好きだ。この気持ちに嘘はない。つまりお前が俺と恋に落ちれば、この婚約だって何も問題ないじゃないか」

いや、なんでそーなんの! あなたにはヒロインがいるんだってばっ!

これで問題なしと言わんばかりに述べられたアメリアは、言いたくてたまらなくて頭を抱えた。

彼が私のことを好き? いやいやいやそれはないでしょう。だって婚約してからもろくに交流を取っていなかったし、手紙でもそんな感じは微塵もなく――。

想定もしていなかった事態を前に、胸の中が騒がしくいたアメリアは、唐突にエリオットに引き寄せられて「ふぇ?」と気の抜けた声が出た。

と思った直後、また二人の唇は重なっていた。

「えっ、ぁーーんぅ」

甘く唇をついばまれた。ちゅくりと吸われて、小さく震える。

今度はすぐに離してくれた。アメリアは顔を真っ赤にして、バッとエリオットから距離を取った。

「な、なななんでまた口付けたんですか!」

すると、エリオットが、ちょっと満足気にぺろりと唇を舐めた。

「つい少し前まで悶々としていたのが、恋だと気づいたらムラムラしてな。婚約者同士だ、構わないだろう?」

「私が構いますッ」

初心なアメリアは、おかげで目まで潤んでしまっていた。どうにか言い返すべく気持ちを高めると、涙目でビシリと指をつきつける。

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