悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「いいですか殿下! このまま婚約を続行するか決定するまではっ、キスをするのは禁止です!」

すると、愛らしい反応を返されたエリオットが、「――ふうん?」と悠々と笑みを浮かべた。

「心には留めておこう」

「やらない方向でお願いしますっ」

アメリアは言い返したが、エリオットのニヤリとした美しい笑みを見て勇気が萎んだ。ゲーム画面で、攻めの溺愛モードが入った時に見たような……。

どこか舌なめずりをされたようにも感じていると、彼が言う。

「できるだけは配慮しよう。だが、俺は、惚れさせるためにも、そして恋に落ちたのなら一層、とことんお前を愛してやるから覚悟しておけ」

とことんはやめてください、あなたの場合シャレにならないんです。

ゲーム原作での彼の攻めな溺愛っぷりを思い出して、アメリアは「ひぇ」と身が竦んだ。初っ端から濃厚なキスをした彼から、もう数歩、距離を取る。

すると、今日はこのくらいにしてやるとでも言うように、エリオットが余裕な様子で軽く両手を上げて身を引いた。

「そんなに怯えるな。初心すぎて、余計に可愛がりたくなる」

「ぴぎゃ」

アメリアの口から色気もない妙な声が出たのに、エリオットはそれも楽しむような表情だった。

「ミッシェル嬢の件だが、兄上の方は俺に任せておけ。公務で数日の出張があるが、戻り次第、気持ちを確認しておく」

それは有難い話だ。

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