悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「え? あの、別にそんな理由では――」

「一目惚れだ。そんな彼と、君が仲を深められているようで嬉しい」

ティーカップを見下ろしたミッシェルが、どこか寂しげな微笑みを浮かべてそう言い、紅茶を飲む。

アメリアは、その声を聞いていて胸がきゅっとした。彼女も、本当は第一王子とダンスがしたかったのではないだろうか?

「そういえば、会場ではクラークと会ったよ」

視線に気づいた彼女が、にこっと笑いかけてきた。ああ、なんと美しいお顔……とアメリアは見惚れてうっとりした。

「彼は仕事も兼ねての出席だったらしい。仕事に社交にと忙しかったのか、少し立食に誘ったら、もりもり食べていたよ」

多分、それ、テンションが上がりすぎて挙動不審になっていただけかと。

恋をしていると知った後であったのを思うと、そんなことが推測された。しかもミッシェル様と舞踏会で料理コーナーにいたとか、羨ましすぎる……。

その場面を想像したアメリアは、しゅんっとなった。

「私も、ぜひご一緒したかったです」

「次は一緒に食べて話そう。ああいう会場だと、私も他にすることがなくて。友達と話しながら一緒にいられるのは、とても新鮮で。ああ、クラークは仕事があったようで、途中、軍服の騎士らに連れて行かれてしまったな」

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